2017年11月30日

所有と経営の分離〜事業承継現場より〜

小谷野です。

事業承継の専門家として難しいと感じることがあります。
それは中小・中堅企業で、所有と経営を分離して会社を継続、発展させていくことです。

具体的には、会社経営の後継者として息子は不向きであるから、経営は血族以外の優秀な人間に任せて、息子は将来株主(会社所有者)として、配当を受け取れるようにしたいという希望です。
理に叶った話のようですが、議決権の過半数を所有する中小・中堅企業の承継の場合、うまくいきません。

株式を相続した息子が会社の株式を過半数所有していれば、即時に社長以下役員を全員クビにできるのです。
当然、経営者たちはこの支配株主である息子の顔色を常に伺って経営しなくてはなりません。
こんな支配環境で優秀な経営者を招聘することは困難です。
種類株式などの制度を利用して息子の株式に制限を加えれば、実質的な資産価値がなくなってしまいます。

そもそも経営学で言う「所有と経営の分離」は、過半数を超える支配株主の存在を想定していません。
企業の発展に伴い、増資により株主数が増加し、支配株主が不在となり中小株主が増加して、株主が経営全般を管理、関与できなくなるので専門の経営者に任せることをいいます。

うまくいっているケースは支配株主のいない大企業、株主が完全に経営に口を出さない(関心が無い)企業、高い経営者報酬が事前に算式で決められている企業など例外的です。

そこで現実的には、

・継がないという息子を説得する
・能力不足なら教育し専門家人脈を形成する、優秀な従業員がいればMBO
(従業員に株式を委譲する手法)する
・企業価値があるうちに第三者に会社を売却する

これらにより事業継続と成長の可能性が高まります。

大戸屋、出光興産、大王製紙、・・・創業家が過半数株式を持っていない上場会社クラスでも、創業家と経営陣との争いはマスコミをよく賑わせます。

〜 争う双方の損失は巨額 小谷野でした 〜


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posted by 小谷野 幹雄 at 15:34| 2017年